もさくネコのセミリタイア生活

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【読書感想】「会計と経営の七〇〇年史」田中靖浩/歴史からものごとの意義を学ぶ

bookkeeping


もさくネコです。

今回は、ちくま新書「会計と経営の七〇〇年史」(田中靖浩著)の読書感想です。

結論

  • 簿記は商売上のトラブル予防と経営拡大に伴う管理の必要性から誕生
  • 東インド会社の倒産は、現代でも教訓になると思う
  • 歴史に学び、先人達の経験を積み上げてものごとを進めていこう

目次

基本情報

著者は、作家・公認会計士の田中靖浩さん。

簿記や株式会社、証券取引所、現行の会計制度などが誕生した歴史を面白くも平易に書いてくれています。

240ページありますが、スラスラと読み進めることが出来ました。

読もうと思った理由

簿記の勉強がマンネリ化し、何のために、どういった経緯で簿記が必要になったのか知りたくなったからです。

簿記の勉強に飽きたときに、副読本としていいかなと思って買いました。

個人的見どころと感想

簿記誕生の経緯・歴史

ざっくりまとめると、次の2点を目的に誕生しました。

①商売上のトラブル予防

中世のイタリアでは、商売上のトラブルが頻発していました。日付や金額がでたらめだったり、約束をすっぽかす人がいたりといった具合に。
そのため、逐一どんな取引があったかを記録する文化が根付き、簿記の原型が出来上がったようです。

②大規模化した経営の管理

また、当時のイタリアでは海外進出が盛んになる中で、ペストという病原菌を持ち込んでしまい大流行しました。
多数の死者が出て経済もダメダメになる。

そこで、メディチ家の登場です。
銀行業中心に色々と展開していき経済を持ち直します。

そのうち、どんどんと規模が拡大していき、今度は支店の管理が課題になっていきます。メディチさんは各支店に経営を任せる分権体制を採用することで解決しました。
そして、各支店の経営状況把握のため簿記が発展していった、という流れのようです。

株式会社の誕生と東インド会社倒産の原因

イタリア商人が海外進出&コショウビジネスで大儲けする様子を見て、オランダ商人達が「俺達も大儲けするぞ」となって東インド会社を設立したという流れだそうです。

そこで、港の整備やらデカい船やらで色々とお金がかかるので、株式で資金調達をするシステム考案し、株式会社の誕生しました。

ついでに外貨を換金できるよう証券取引所も誕生です。

大盛り上がりだった東インド会社ですが、段々と調子が悪くなり潰れてしまいました。

著者が分析した倒産の原因は3つです。

  1. 航海中の船員による盗難
  2. コショウに固執し需要減&儲け減
  3. 株主への過剰配当

これは抽象度を上げて、

  1. 倫理の欠如
  2. 供給過剰
  3. 株主偏重

と言えそうですね。

現代でも、この教訓は会社経営に通用しそうです。

まとめの感想

ものごとを進めるときには歴史に学び、積み上げながら行うことが大事だと感じました。

というのも対人援助職に従事していたときの話を思い出したからです。

その時にも、なんのためにあるのかわからない業務やルールがありました。

働き方改革の一環として業務見直しを大々的に行い、それらをどんどん削っていった結果、不都合が生じたケースが少なくありませんでした。

ルールや業務が導入された経緯を知り、影響を熟考したうえで、その時々に合わせて変えていくのが大切ですね。

現代はスピード重視で先行利益を得なければ、ライバル企業に勝たねばと躍起になりがちです。短期的・部分的にはメリットが大きく感じられますが、長期的・全体的にはデメリットも同じぐらいあるのかなぁと思いました。

 

本ブログで紹介した以外にも、ヨーロッパ各国がどうやって国難を乗り越えてきたか(特にオランダが良いです)、鉄道から生まれた連結決算などの内容が記されております。知識欲が満たされて脳が幸せになりました。

これから簿記の勉強の際には、先人達が積み上げた努力の結晶をしみじみと感じながら、感謝の気持ちを持って勉強出来そうです。