もさくネコのセミリタイア生活

コミュ障、ぼっち、非リア、無能が少し、前向きな人生を模索するブログ

【読書感想】「経済成長とは何か」田村英雄/経済成長が必要な理由

book review


もさくネコです。

今回は、ワニブックス新書「経済成長とは何か~日本人の給料が25年上がらない理由~」(田村秀男著)の読書感想です。

なお、この文章にはもさくネコの主観が大いに含まれています。

冴えないおじさんが飲み屋で駄弁っていると思ってお読みください。

基本情報

著者は、産経新聞特別記者・編集委員論説委員の田村秀男さんです。

そもそも経済とは?といった用語の解説や経済成長の必要性、中国の経済動向、これから日本がすべきこと、などが主な内容です。

読もうと思った理由

経済成長を追い求め続けることが、今日の日本における労働環境の悪さの原因では?と思ったからです。

自分の考えを確かめるため、そもそもなぜ経済成長が必要なのか、現状はどうなのかをまず知っておかねばならないと思ったので、購入しました。

個人的見どころと感想

見どころ

家族や社会は高齢者を養う必要があります。~さらに子供たちを育てないといけません。(P87)

経済成長が必要な理由は、子供を育て、高齢者を養う原資を得るためとのことです。

そして、経済成長をするために国債を発行して、より積極的な財政出動をすべき、と主張されています。それにより、金融経済で余っていたお金を実体経済に回すことが出来るそうです。

従来の財政政策はいつも、もう少しで景気回復というところで消費税増税国債償還をおこなったため、需要が減少して失敗したという見解をされています。

デフレ下での緊縮財政は悪ということを繰り返し主張されています。

 

感想

デフレマインド払拭のため、国が率先して財政出動を、継続的に行うことで経済が回復していく可能性はありそうです。もちろん企業が利益を賃金に反映してくれればですが。

ただ、私としては、デフレマインドが原因というより、もう十分に社会が成熟したから欲(需要)がないんじゃね?という感覚があります(主観100%な個人の感想です)。

 

生産技術が向上したり(技術革新)、企業努力によって、様々な物やサービスを安く、大量に提供できるようになりました。

衣食住や家具家電等、生活に必要なものは、十分に行き届いたのではないでしょうか。社会インフラだって昔に比べて整備された。

もう十分に成熟した。だから、需要がないのではないでしょうか。

社会の成熟化→需要(消費)減→価格減(競争激化)&労働長時間化→利益・給料減→需要(消費)減→価格減(競争激化)→・・・の悪循環に陥っているような気がします。

しかし、今の経済システムは、基本的には労働して対価を得ます。だから、働かないとお金を得られません。

成熟して、需要はないけれども働かないといけない。「国も雇用創出だ!」と財政支出する。

そんな空回りを続けているのではないかと感じます。

そうそう簡単に技術革新をしたり、ブルーオーシャンを探り当てることは出来ない。

供給によって生み出される需要というのは、社会が成熟する前には必要だったし、効果があったと思います。

ですが、今日の成熟した社会では、なんだか無理矢理生み出した需要のように感じます。

飲食もアパレルもコンビニも住宅も、いろんな業界で供給過多だと思うのです。

地デジ化とか、買わせるために目立たせまくった広告とか、スーパーのすぐ横にある自販機とか、賃貸の謎のクリーニングや鍵交換や、他人のプライバシーに配慮できない報道機関や、よくわからない保険や、巨大なイカのモニュメントもGDPには計上され、経済成長していることになりますが、別になくても大して困りません。

働かないと1円も手に入らないシステムだから、なけなしの需要をめぐって、なくても大して困らない仕事に従事せざるを得なくて、なんとか利益を得ようと長時間労働サービス残業等も含む)でみんなで疲弊しているような、そんな気がするのです。

いまは、生きていくのにマスト(必須)というより、ナイストゥーハブ(あれば便利)な物やサービスで溢れていると感じます。

そういう仕事のために、毎日精神をすり減らして、時には過労死までしてしまう労働環境は、健全とは言えない。

さらに言えば、経済=GDPの成長を追い求めているけれども、生産技術が向上して、安く、質の良いものを大量に作られるようになったら、製品1個あたりの付加価値は小さくなります。サービスも同様です。

消費者に十分に生き渡るまではGDPに反映されますが、そのあとは急激に小さくなっていきます。GDPには生産性の向上(効率化)があまり反映されません。

それでもまだ、成長だ!競争だ!と経済成長至上主義で経済活動に勤しむことは、本当に正しいことなのでしょうか?

本書で記述されていますが、家計金融資産は1900兆円超、企業も1200兆円超保有しているそうです。

現状、消費者はあまり消費しないし、企業も投資をしない。

コロナ対策で国民に10万円を配っても、日本人の現預金が過去最高の1000兆円に増えるだけでした。

これは田村さんのおっしゃる通り、長年のデフレマインドや先行き不安が一番の原因かもしれません。継続的な財政出動で回復していく、という見方もなるほどと思います。

でも、もう成熟した社会では、需要はないものはないんじゃないかと。

一番需要があるのは、時間とか精神的余裕・充足なんじゃないかと。

経済成長といっても内容が一番大事ですし、働きすぎないほうが競争が抑えられ、物価ももう少し上昇し、可処分時間が増えて需要が増加し、かえって経済成長が出来るのではないか・・・と思います。

そういう意味では、脱成長という考えや、ベーシックインカムもわりとありなのではないかと考えています。

ただ、今話題のイェール大学助教授の成田悠輔さんは、脱成長、脱資本主義を否定されています。

超優秀な人がおっしゃっていることなので、脱成長、脱資本主義の考えは色々と間違っているのかもしれません。

私は仕事が出来なくて無能でしたので、色々と見逃している視点や無知があると思います。

経済成長肯定派の方の本をまだ積読しているので、今後読んでみたいと思います。

まとめ

他にも、「国債のデフォルトはあり得ない」という主張と根拠など、見所が満載です。経済ド素人の自分にはなかなか難しかったのですが、読みごたえがあり、見識を深めることが出来たかなと思います。

日本の労働環境の悪さは、複合的な要因がありますので、今後もいろいろと調べ、考えていきたいと思います。